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※2015年12月6日 修正・追記


※ネタバレ注意



私は朝井リョウが好きではありません。
嫌い……とまではいきませんが(そこまで興味が無い)、でも、好きではない


例えば、小説が、やたらリア充臭いところ。

桐島が部活辞める?
知らねえよ!!!
他人が部活辞めるかどうかなんて興味ねえよ!



作品全体から滲み出る、学校生活を楽しんでいそうな人たちがが好みそうな雰囲気が良くも悪くも合わないのです。
 



















あと、著者本人が「いかにもな小説家と思われたくない」と公言しているにもかかわらず、「いかにもな小説家」らしく、文化人枠でメディアに出ているところ。


発言、矛盾してないか?
もし、本当に「いかにもな小説家」と思われたくないのなら、文化人として扱われることも否定しそうな気がするけど……。






 























ただ、こんなこと書いておいてアレですが、私、朝井リョウの作品を読んだことが無いのです。
だから、「好きではない」というのも、ぶっちゃけ作品や著者から受けるイメージから、なんとなく思っているという程度の話。


そのため、前述した批判は的外れなものになっている可能性が高いと思います。
ソースを確認していないわけですし。





















ただ、やっぱり、こうやってイメージで判断してしまうのは、どうなのかなぁと思うところもあるわけです。
イメージだけでの判断に信憑性はあるのかなぁ、と。

例えば、某掲示板の情報だけで企業をブラック扱いすることに、どれほどの価値があるのでしょうか。
ネットの評判だけで、何かを評価するのは早計だと考えられます。

やっぱり、まずは自分の目で確かめないとね!



























というわけで、朝井リョウを正確に評価するために、「何者」という小説を読みました。

ちなみに、「何者」は就活をテーマにしているというより、「SNSの私と現実の私の違い」のようなものをテーマにしているため、企業と学生の戦いについては、思っていたほど出てきませんでした。
あくまで、就活は物語を進めるためのネタ。


何者 (新潮文庫)
朝井 リョウ
新潮社
2015-06-26

※非アフィ





















今回の読書の目的は単純です。

朝井リョウをディスるための材料を手に入れること。






雰囲気が合わない彼の小説を、イメージではなく、体験を基にディスれるようになること。
これが第一の目的でした。




















ちなみに、この「何者」という小説、去年だか一昨年だかに、「戦後最年少直木賞受賞」か何かで話題になりましたね。

就活をネタにした小説です。
当時、私はリアル就活生でしたので、よく覚えています。



「おっ、就活をネタにした面白そうな小説があるじゃん!」と思い、本屋で手に取ったのも束の間、開始早々、ライブハウスの描写という圧倒的リア充感にやられ、そっと棚に戻したことも、よく覚えています。
余談ですが、「いやいや、最初だけで判断するのは、よくないだろう」と思い、戻した直後に再び手に取ってみたのですが、今度は同棲だのルームシェアだの書かれていたので、○なねえかなもう関わりたくないな、とも思いました。






















さて、そんな「何者」ですが、読んでいくうちに、想定外な方向に……。























あれ? 思っていたほど、悪くないぞ?
これじゃあ、ディスれない。
























読む前、私は「何者」に対して、良い印象を持っていませんでした。
なぜなら、就活に対して、思い込みの激しい意見が目立っていたから。



例えば、

“「就活をしない」と同じ重さの「就活をする」決断を想像できないのはなぜなのだろう。”

という文が出てくるのですが、「就活をしない」決断と「就活をする」決断が、なぜ同じ重さだといえるのか、私は疑問に思ってしまいます。


一体、何を根拠に思っているのか?
単純に考えて、「就活をする」という決断は、「しない」に比べ、レールの上を、そのまま歩く決断だと私は考えます。言い換えたら、大多数に属することを選んだ決断。
そのため、人と外れたことをすることができない層は何も考えずに、なんとなくで「する決断」を選ぶと思われます。

その「なんとなくの決断」が、レールを外れることを選んだ決断(=しない決断)に比べて、本当に「同じ重さ」であると言えるでしょうか?



ガバガバな主張で申し訳ありませんが、これ以上は、ちょっと割愛。





















ともかく、ネットで批評を見る限りでは、このような、(私から見て)根拠に欠ける、就活に対する意見が目立ちました。作中で。
だから、批評のみで判断した場合、私は受け付けなかったのかも。























しかし、実際に読んでみたら、ちょっと印象が変わりました。

というのも、私から見て、上記のような「根拠に欠ける発言」をしているヤツは、最終的に、作中で痛いヤツ扱いされていたので。

つまり、こういう思い込みに近い意見は、著者が表現の一環として入れていた可能性があります。
なるほど。小説の表現として、わざとツッコみどころのある形で入れていたとしたら、そこにツッコむのは野暮というものです。





















今回、読んだ「何者」、面白いかつまらないかで言えば、面白かったです

5段階評価で1~2を付けるつもりで読んだのですが、いざ読み終わってみたら、少なくとも3は付けられるべき作品かなと感じました。
1~2なんて、とんでもない。さすがは直木賞と言ったところでしょうか。



……ただ、直木賞というのは言い過ぎな気もするかなぁ、とも感じました。
私は、あまり小説を読まない方なので、他の直木賞作品は「容疑者Xの献身」ぐらいしか読んだことがないのですが、「容疑者X」の方が心に来るものはありました。

「何者」は面白かったのですが、やや軽い印象は拭えないかな、と思いました。
偉そうに言えるほど、小説は読んでいませんが。





















「何者」は衝撃のラストが売りですが、たしかに、衝撃でした。
一応、ネタバレで、おおむね知ってはいたのですが、実際に読むと、やっぱり迫力ありますね。

個人的に、こうやって他人を論破していく感じ大好物なので、「何者」のラストはニヤニヤしながら読んでいました。
最近、ホリエモンとひろゆきがネット規制派をボコボコにしていましたが、あれも最高の娯楽として楽しめました。






















他に気になったことを羅列すると、

・時系列がぐちゃぐちゃになることが多くて、若干、読みづらかった

・分かりづらい比喩が多くて、理解しづらい部分が目立った
私の文学センスの問題かもしれませんが……。っていうか、小説家志望なのに文学センスに難ありって、結構ヤバいっすね

・ラストが唐突かつ説明口調が過ぎる印象を受けた
→ただ、個人的には許容範囲

といったところです。




時系列も比喩も説明口調も、「小説の書き方」的な本に「初心者がやりがちなミス」として、よく書いてあったことだったので、「あれ? これっていいのかな?」という意味で気になりました。



















今回の読書、結論から言えば、朝井リョウをディスる材料は得られませんでした……。
普通に面白かったので。
思っていたほど、悪くない作家なのかも。



また、勉強にもなりました。
私から見て、上記のような気になるポイントがありつつも、実際に直木賞を取っているという事実から、「誰が見ても完璧な作品で無いと賞が取れない」というわけではないと思えたので、嫌味でも皮肉でもなく、小説家志望として気が楽になりました。

プロの世界が思ったよりも近くにあると感じられたので。
馬鹿にしているわけではありませんよ!


















「何者」は面白かったです。
文庫版は電撃のラノベより字が大きかったからか、5時間ほどで読めました。
ヘビーな読書家なんかでない限り、読んで損はしない気がします。


ただ、もう、朝井リョウの作品はいいかな。
自分から好んで読むことはないような気がします。


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※2015年12月6日 修正・追記:

後から見返してみて、ちょっと感情的になり過ぎたり、表現がきつくなっている部分が見られたので、一部、表現を変えました。



また、補足になりますが、私は「何者」は面白い小説だったと認識しています。
ただ、作者買いするほどハマらなかったので、「もう、朝井リョウの作品はいいかな」と書きました。



加えて、今回の読書は、あくまで「ディスる材料を見つけること」が目的でした。
記事にも書いた通り、私は朝井リョウが好きではありませんでした。
しかし、作品を読んだこともないのに、悪く言うのは気が引ける。

そこで、一度、作品を読んでみて、それから、きちんと判断しようと考えたわけです。
「ディスる材料を見つけること」と書いたように、言ってしまえば粗探しもいいところですが、それでも、良いところがあれば受け入れようと思って読みました。

その結果、上記のような感想に至った、ということになります。



余談ですが、事前にネタバレを見ていたのは、もともとネタバレのみで朝井リョウならびに「何者」を判断しようとしていたからです。
しかし、読まずして判断は難しかったので、今回、実際に本を買って、しっかり中身を確認したということになります。



少し前にいただいたコメント(現在はコメント停止中)から、このあたりの事情を上手く伝えられていないように感じたこと、当記事が本ブログにて最も訪問者の多いことなどを考慮に入れ、今回、修正・追記を行うことにしました。









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